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Visions of Masochist
自分を律し、行き先を指し示す【Vision】。 しかし、行き先の分からない「背徳の幻想」が、私の中には存在する。
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山芋責め
 自虐プレイをしなくなって、大分たつ。

 長い時間をかけて、特定の女性の前でだけ、自分の素顔のまま足下に平伏する奴隷ないし執事としての自分を認められるようになった以後、種々の責め、として用いられる苦痛や行為だけを取り出して自分に施してみることには興味がなくなってしまった。

 確かに、M男性向けのビデオを見るときは、そういう「愛情のあるSM」よりも、多人数の女性から理不尽な責めを受けるようなビデオを好む。何十人もの女性の脚で踏みにじられたり、便器にされたりしている姿を見て昂奮するのはいささか矛盾しているけれど、自分がリアルにそんな経験ができる機会があったとしても、やります、とは言わないことは確かだ。

 自虐に興味がなくなった代わりに、やってみたいと思ったことはやってみていたはずが、一つだけ忘れていたことがあるのに気がついた。

 「山芋責め」「かゆみ責め」の類である。
ふたり 【11】

「う・・・ん・・・?」

 どれくらいの時間がたったのか、静かになった辺りの気配を探りながら、由梨は目を覚ました。

 もやがかかったような頭の中で、今自分がどうしているのかを必死に理解しようとする。

 肩甲骨の下と手首、足首と内股に鋭い痛みがある。緩慢な動きで、首を回し、ゆっくり辺りを見まわすと、男も美恵も姿を消していた。
ふたり 【10】
「ああああッ!!!・・・あああッ!!!ぅおねがぃぃっ・・・いやーーーああッ!」

 臀部に一瞬触った鞭先の結び目は、表面から痛覚を刺激し、反射的にはじけ飛んだように身体を反らせてもこらえきれない痛みを生じさせる。
 同時に、重たい紐の部分は、皮膚の深い部分に鞭を振り下ろした腕の遠心力をまともに伝え、身体の芯に響く。

 いずれにしても到底、じっとしていられるものではなかった。

ふたり 【09】
 男の手で、もどかしいほど、ゆっくりと布地を引き上げられてゆく。

(お願い・・・恥ずかしい・・・!一想いに狂わせて・・・)

 届かぬ懇願を心の中で重ねる間、じっくりと臀部を剥き出され、由梨はついに下半身を全て人目に晒された。

 もちろんその姿を見る余裕はなく、ただただ淫らな綱引きを続ける姿を自分以外の男女に晒しながら。
ふたり 【08】
 男性自身を、こんなにも淫らな責め方で嬲られたことはない。由梨の昂奮の証は、先端に光る雫の輝きで明らかだった。

「自分で綱引きしてみるんだ」

 男は由梨の口枷を取り去ると、大きめのクリップで舌を挟む。男がクリップから手を放した瞬間、鈍い痛みが口中に広がり、思わず顔をしかめた。

 クリップには、テグスが通る程度の穴が開いており、男は慣れた手つきで梁から伸びるテグスをそこに通したあと、ぎりぎりまで由梨の舌を出させたあと、固く結んだ。

「あぅうッ!・・・」

 舌を吊られる苦しさに、顔を上げて呻く。思わず上げた顔のせいで、自分の秘部から伸びるテグスが少し余裕を持ち、楽になる。

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