姫に鞭を初めて贈ったのは、もう十年以上前になる。
当時は、「最後のプレゼント」にするつもりだった。
もう会うのはやめなければいけない、そう思いながら、まさに「最後の晩餐」のために用意した鞭を持って、姫の前で女装して、アルファインのチェーンブロックに体を預けながら、その鞭で打ってもらった。
やりたかったことを、やりたいだけやって、それできれいさっぱりこういう趣味にはお別れしよう、と思っていた。
普通の生活を、普通に送る普通の男性。
なりたくてなれない、私の目標なのかな、と思う。
当時は、「最後のプレゼント」にするつもりだった。
もう会うのはやめなければいけない、そう思いながら、まさに「最後の晩餐」のために用意した鞭を持って、姫の前で女装して、アルファインのチェーンブロックに体を預けながら、その鞭で打ってもらった。
やりたかったことを、やりたいだけやって、それできれいさっぱりこういう趣味にはお別れしよう、と思っていた。
普通の生活を、普通に送る普通の男性。
なりたくてなれない、私の目標なのかな、と思う。
見た目も仕事も趣味も性格も、取り立てて目立つこともない。
まさか体の中を変態性欲で満たしているようには見えないだろう。
まさか、愛してはいけない女性を愛してしまうほどの冒険をするようにはきっと、誰にも見えていないだろう。
そう思いながら、本当の自分とのギャップに気づき、そして、その度に姫に甘えてきた。
こんな衝動を持っているけどMとしてはいけないことじゃないでしょうか。
姫に対してこんなことも約束できない私は、執事にはふさわしくないんじゃないでしょうか。
こんなにあれこれしてみたいとお願いするばかりでいいのでしょうか。
不安の裏返しは、いつも姫への甘えになる。
男性としての不完全さを、自分を受け入れてくれる愛しいぬくもりに溶かして、ひととき、私は全能の力を持ったような幸福感と充足感で何度も満たされた。
今の私が私なのは、姫に出会えたからだ。
そして、いろんなことがあったけれど、どんなにつながりが細くなったとしても、切らないでつなげていなかったら、今の自分にはなれなかっただろう。
「エスエムが好き」なのか、「オンナになりたい」のか「M女にあこがれ」ているのか、加虐の情景にただ昂奮するだけなのか、ずっとわからないまま、今も出会い系サイトなどを巡回してはため息をついていたのかもしれない。
S女性になら、きっと何人か出会えただろう。
ひょっとして、その中の誰かと、プレイをしたり身体を交える機会があったのかもしれない。
そして、その後には今の自分と違った自分と、毎日の生活があったのかもしれない。
けれど、私にはそんな自分を想像できないし、何事にも代え難く、姫のことを想う。
S女を探していたのではなく、姫に会いたかったんです。
いつでも、いつまでも言える。
私には、貴女しか欲しい女性はいないのです、と。
アダルトショップにおいてあった、十年前の鞭とはレベルの違う造りの鞭を持つ姫の手を想像しつつ、帰り道で、そんなふうに想った。
まさか体の中を変態性欲で満たしているようには見えないだろう。
まさか、愛してはいけない女性を愛してしまうほどの冒険をするようにはきっと、誰にも見えていないだろう。
そう思いながら、本当の自分とのギャップに気づき、そして、その度に姫に甘えてきた。
こんな衝動を持っているけどMとしてはいけないことじゃないでしょうか。
姫に対してこんなことも約束できない私は、執事にはふさわしくないんじゃないでしょうか。
こんなにあれこれしてみたいとお願いするばかりでいいのでしょうか。
不安の裏返しは、いつも姫への甘えになる。
男性としての不完全さを、自分を受け入れてくれる愛しいぬくもりに溶かして、ひととき、私は全能の力を持ったような幸福感と充足感で何度も満たされた。
今の私が私なのは、姫に出会えたからだ。
そして、いろんなことがあったけれど、どんなにつながりが細くなったとしても、切らないでつなげていなかったら、今の自分にはなれなかっただろう。
「エスエムが好き」なのか、「オンナになりたい」のか「M女にあこがれ」ているのか、加虐の情景にただ昂奮するだけなのか、ずっとわからないまま、今も出会い系サイトなどを巡回してはため息をついていたのかもしれない。
S女性になら、きっと何人か出会えただろう。
ひょっとして、その中の誰かと、プレイをしたり身体を交える機会があったのかもしれない。
そして、その後には今の自分と違った自分と、毎日の生活があったのかもしれない。
けれど、私にはそんな自分を想像できないし、何事にも代え難く、姫のことを想う。
S女を探していたのではなく、姫に会いたかったんです。
いつでも、いつまでも言える。
私には、貴女しか欲しい女性はいないのです、と。
アダルトショップにおいてあった、十年前の鞭とはレベルの違う造りの鞭を持つ姫の手を想像しつつ、帰り道で、そんなふうに想った。
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