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Visions of Masochist
自分を律し、行き先を指し示す【Vision】。 しかし、行き先の分からない「背徳の幻想」が、私の中には存在する。
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映画館・5回目【03】
 「もう遅いよ。後悔するのは終わってから、だ」


 捉えた獲物をいたぶる男、彼の悪意を込めた暴力は、粗野な言葉や、理不尽な要求に慣れていない人間を一瞬のうちに服従させるのに十分だった。私は、まさに、その餌食だった。


「ごめんなさい、本当に、わざとじゃないんです・・・!、ごめんなさ・・・」


 全てを言い終わらないうちに、お腹の当たりに腕を絡められ、私は一気に抱きすくめられ、後ろの席の一番奥までそのまま引きずられていた。


「あッ!・・・ちょ、ちょっと、放して・・・嫌ッ!、嫌っ!」


 混雑の中では、また、誰かの足を踏んでしまうかもしれない。そう思うと床に踏ん張ることもできず、爪先が、虚しくリノリウムの床を滑った。


(連れ込まれたら・・・大変な・・・ことになってしまう・・・)


 背中に冷たい汗が、流れるのが分かる。
 力強い男性ばかり4~5人に引きずられ、私はもがくばかりでどうすることもできなかった。私の周り、というより後ろの席全体が満員電車のようで、そこだけ他とは全く違う雰囲気を発していた。20人以上の男性達が固まり、一番前列の男性はなぜか全員目の前の手すりに手をかけ、その周りの人はしゃがんだり、腰を動かしたり・・・、何をしているかはすぐにわかった。


「集団」の中へ、あっという間に、私は引きこまれた。


 ほんの一瞬で、一気に回りから強い力で手が伸び、力任せに身体をぴったりと包んでいるニットを引っ張られ、首筋が大きく開いた。伸縮する限界まで広げられた布地は、軋むようなかすかな音を発し、あと少しでちぎれることを私に認識させた。右にも左にも、後ろにも前にも、逃げることができない私は、あと少しで裸にされてしまう恐怖に、身じろぎもできないまま震えていた。


 「いい格好だな、お・じょ・う・さ・ん・よ!、アハハハ!」


 私の頬を殴打した男は、皮肉たっぷりに私を嘲笑し、右手で軽く私の頬を撫でた。そのまま左手でポケットからライターを取り出すと、右手を放し、火をつけ、私の眼前に差し出す。


 「どこを焼かれるのか、分かるか・・・?」


 目の前をちらちらとオレンジに光る炎が往復する。悪戯半分なのか、本気なのか、計り知れないことが恐怖を倍加させる。


 「前髪にしようか、鼻の頭にしようか・・・それとも・・・大事なトコか?」


 ライターを顔の前、胸元、そして、下腹部へと揺らされる度、恐怖がさらに身体全体を覆う。私の視線は、小さなライターの炎に釘付けにされた。


 「ココだな・・・」


 ライターは、いっぱいに開かれたニットの、真ん中に当てられた。


 「ヒイッ!いやっ!!止めてくださいっ・・・!」


 化学繊維と動物の毛が一緒に焼かれるようないやな香りが辺りに漂った瞬間、さらに強い力で袖と胸元を一気に引かれ、布地は一気に破かれていく。かろうじて下に着ていたキャミソールが、身体を隠してくれたけれど、私は、男達の中で、一人、素肌を晒していく。


 暗がりに白いシルク地のキャミソール姿の私。黒い止みから手が伸び、キャミソールに手を掛けられた。


 「さあ、ストリップショーだ」


 耳元でささやかれ、キャミソールは一気にめくりあげられる。一度に周囲の視線は、私の胸元に注がれ、いたたまれない私は、顔を右に背ける。その瞬間、男性はキャミソールで私の顔を覆い、私は、視界まで奪われてしまう。


 周囲の状況は、もう気配でしか分からない。その気配も、男性達がいきり立って昂奮する熱気に包まれ、真夏のアスファルト上のような息苦しさに変わっていく。めまいを感じる暇もなく、ブラジャーを力任せに引かれ、肩紐が鈍い音を立ててちぎれていく。丁寧にセットしたシリコン製のパッドが床に落ちる。もう、私は、キャミソールとぼろぼろの布をまとっただけの、男性そのものの姿を晒しはじめていた。そして、そのことが、羞恥心を増加させる。


 しかし、同じ羞恥心でも、今は、性的快感を刺激する羞恥心ではなく、自分の存在がいたたまれない、存在すること自体が恥ずかしかった。一刻も早く、ここから離れ、普段の「男性」の洋服に着替え、化粧を落として「元の姿」に戻りたかった。


(こんな乱暴に、めちゃくちゃにされるために・・・来たんじゃ・・・ない・・・)


 抵抗する気力も失われ、私は、ただ、早く終わって欲しい、早く、自分に厭きてほしい、それだけを願っていた。


 何も隠すものがなくなった胸を、私はなんとか両手で隠そうともがき続けた。両手を持ち上げられ、ヘアバンドのようなもので手首をぐるぐる巻きにされ、そうしている間にも男性が回りこみ、いきなり乳首に吸い付かれる。


 男達は、荒荒しく自分の好きなように吸い、噛み、引っ張り・・・。感じるどころではなかった。力を入れてもがけばもがくほど、周りの男性は面白がって私を動けないように押さえつけていく。


 「地下」は、男性の姿をした男性をかわいがるのが「普通」の姿。私のような女装者は「変態性欲者」でしかないことを、今になって、やっと私は思い知らされていた。
 気がついた時は、もう遅すぎた。私は抵抗するすべもなく、周りの男性達から解放されるのを待つしかなかった。


 括られた両手は、手すりに結ばれ、逃げることはできない。男性達に見せつけるために、今日はパンティストッキングも薄めにしていたことも、裏目になり、簡単に破かれ、Tバックのパンティも引き千切られた。


 声を上げて助けを呼べばよいかもしれない。しかし、あの雰囲気に自分から入っていった女装者の声など聞いてくれるはずはなく、やめてくださいと何度かは声にだしたものの、それで赦すような人たちではないことはもう明らかだった。


 スキンをつけていた私の局部に指が伸び、剥き出しにされ、あっというまに口に咥えられてすごい勢いでフェラチオされる。ミュール以外はほとんどなにも身につけない姿で、身体中を撫でられ、さすられ、舐められていると、怖さと同時に、いままで感じたこともない快感が駆け抜けて、満足に勃起もしないまま射精した。フェラチオしていた男性は、おいしそうに私の精を飲み干すと、「ごちそうさん」と言って離れていった。


(もう解放して・・・)


しかし、他の男性達は満足しておらず、止める気配は全くなかった。


 すぐに次の男性がフェラチオを始めた。同時に、私の後方の男性は、生暖かい液体を人差し指と中指で私のお尻に塗りつけていた。


(な・・・何を塗ったの・・・)


ほんの数秒で、お尻の穴が燃えるように熱くなり、呻き声を上げずにはいられない。キャミソールの下から低いうめき声が聞こえた瞬間、お尻の穴に指が入ってくる。前後に出し入れされる感覚が、すぐに私のお尻をほぐしていった。


(は・・・早く終わって・・・欲しいのに・・・どうして・・・、私・・・)


 指はすぐに2本になり、じれったくなる程ゆっくりとした動きに変わっていった。私は、最初は力を入れてなんとか我慢しようと思っていた。しかし、ふっと力が抜いた瞬間に奥まで指を入れられ、背中の真ん中まで串刺しにされたかのような感覚を覚え、それ以後、もう抵抗はできなかった。


 2回目の射精を強いられようとしたころ、指が抜かれ、熱いものを当てられる。


(犯される・・・ッ!)


 両方のお尻に手を掛け、少し開きながら、力強く押しつけられ、そのまま熱い鉄棒のような男性自身を、私は受け入れさせられた。まさかこんな乱暴なことをされるとは思っていなかったけれど、完全に、後の祭りだった。


痛みで、声も出ない。


金魚のように口だけをぱくぱくと開け閉めしながら、私はもう声も出せず、力をいれようとしてもお尻は全くすぼまることを許されなかった。男性は前後運動をはじめ、私はただ、うう、うう、とうめきつづけた。


前の席の男性は私の頭をつかんで口に押し込む。
もう、何も、意識で感知することはできなかった。


私は赦してほしくて首を振り、必死で唇をすぼめて男性を吸いたてた。一人男性が果てても、次の男性が私を抱き、何がどうなっているのかも、もう分からなかった。


断片的な光景が、今になって、少しずつ思い出せるようになったけれど、「あの日」の出来事は、今もこのくらいしか、記憶の中から取り出すことはできない。
人並みがやっと途切れたところで逃げるように帰った日、私は、もうここに来てはいけない、もう止めよう、と脚を震わせ続けながら自分に誓っていた。

テーマ:女装 - ジャンル:アダルト

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