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Visions of Masochist
自分を律し、行き先を指し示す【Vision】。 しかし、行き先の分からない「背徳の幻想」が、私の中には存在する。
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初めての「女装」
 新しい自分に出会う瞬間。それは大いなる好奇心と、少しの勇気がもたらすものである。書店にあふれる「ポジティブ思考」をうたったハードカバーに踊る文字の明るさには違和感を覚えるけれど、「私」が「私」に出会えたのは、そんな瞬間に、偶然が味方したからだと、今は思える。
 進学祝いにもらったノートパソコンで、初めてネットにつないだ頃、blogもSNSもまだなかったし、そもそも「人はネットでどうやってコミュニケートすべきなのか」なんてことを偉そうな先生が新聞に書き連ねていたくらいだったから、「ネットを何に使うべきか」なんて手本はなかった。
 毎晩夜11時。私は一人暮らしのアパートから、ほとんど一晩中必死にネットに自分の劣情をぶつけつづけていた。


 気がついたら、私の中に「女性」がいた。


 ビデオの中で、麻縄で縛られ、赤い蝋燭で身体を彩られ、苦悶の表情を見せる女性。刺青の入った数名の男性に囲まれ、汗ばんだ首筋にほつれ毛を貼り付かせて恍惚としている表情。私は、その「男性」ではなくいつしか、「女性」に成り代わっていた。


 通販カタログショップで女性の洋服を注文するのに、そう時間はかからなかったように思う。最初は、「ばれたらどうしよう」とか思っていたけど、ストーカー対策に、男性名で注文する女性もいることだろうし、気楽に考えれば、そんなことはたいした問題ではなかった。
 ちょうどエクステンションやウイッグがはやり始めていたから、自室の洋服ケースの中身は、どんどん女性の「私」専用になっていった。
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