初めて麻縄で全身を完全に拘束された時、確かに私は「縄酔い」し、後手に縛られ、片足の爪先だけを床に触れさせながら何分間も痙攣し続けていた。
両腋を晒した奴隷の姿勢で拘束され、背中一面に蝋燭の雫を受けながら、そのまま「身体の絶頂」を迎えたこともあった。
いずれも私は女装していたし、相手は男性だった。
それからしばらく時間が過ぎた後、私は女性から受ける新しい種類の絶頂を味わうことになる。
両腋を晒した奴隷の姿勢で拘束され、背中一面に蝋燭の雫を受けながら、そのまま「身体の絶頂」を迎えたこともあった。
いずれも私は女装していたし、相手は男性だった。
それからしばらく時間が過ぎた後、私は女性から受ける新しい種類の絶頂を味わうことになる。
ベッドで私の右側に横になったS女性は、私を睨むように見つめ、自分の右手で私の左手の手首を掴み、それ以上自分の身体を触ることを禁じた。
そのまま、右手の指先と爪の先との感触を使い分けながら、鎖骨から胸元、臍の上、そして、首筋、さらに乳首・・・と羽で撫でるような軽さで刺激され始めると、そのじれったさに私は身悶えせずにはいられなかった。
まるで女装していた時のように、身体の表面から内面へと、軽い刺激だけが連続し、刺激の強度を上げられないままじれったさを味合わされ続けるもどかしさに、自然にあえぎ声が出始める。
身体が快感を求めて走り出そうとする度、波が引くように刺激の強度を弱められる度、私は羞恥心を刺激され、たまらず何度か懇願していた。
「ア・・・ッ、も、もうやめてください・・・」
ベッドの上で半身を起こし、私の両目を見下ろすS女性の視線が、左手を自由にすることを許さない意思を伝えていた。
(このまま続けられたら・・・、どうなってしまうのだろう・・・)
「男性」が「女性」から与えられるがままの快感に身を任せる姿としてはあり得ない程か弱げな喘ぎが漏れた。フェラチオさせ(してもらう)る時に呻く、ある意味「男らしい喘ぎ声」ではない。
ただ、快感を受け取る時に漏れる喘ぎを自分の耳で聞く度、こんな情けない声を出してもいいのか、快感を受け取るだけの戯れを続けてもいいのか、と自問自答し、煩悶した。
何度か左手をそのまま動かし、S女性の身体に手を伸ばし、「刺激の主導権」を取り戻そうともした、しかし、その度、手首に「意思を持った力」を加えて私の試みを制される。
(思うがままにしてもいいんだ、今は・・・)
そう思った瞬間、何かが、私のリミッターを外した。
刺激の有無とは無関係に、不規則に身体がビクッ、ビクッ、と痙攣し始める。それを楽しむかのように、また爪の先でひっかくように身体をなでつけられると、爪先が触れる度に痙攣のリズムがまた不規則性を加えられるようだった。
次第に、目を開けているのが面倒になり、そのまま、私は「縄酔い」したあの日のように、目の前がぼうっと白くなるような錯覚に支配されていった。
不思議と、性器にかかる膨張力が収まるのと反比例して、首から上に血液が集まるような感覚を覚え、私は、そのまま「頭で達した」状態を迎えていた。
男性同士で味わった絶頂は、どこか、自分の力を加えてその頂きを上っていったような意識があった。それは、「男性同士の性行為」という非常さを打ち消すために、私自身から意図的に加わる意識だったかもしれない。
S「女性」から、「男性の私」に対して加えられる刺激をそのまま受け止めることができた時が、「頭で達して、身体で達しなかった」初めての体験である。
まだ「S女性」と主従を結ぶ、少し前の出来事である。
・・・【04】に続く。
そのまま、右手の指先と爪の先との感触を使い分けながら、鎖骨から胸元、臍の上、そして、首筋、さらに乳首・・・と羽で撫でるような軽さで刺激され始めると、そのじれったさに私は身悶えせずにはいられなかった。
まるで女装していた時のように、身体の表面から内面へと、軽い刺激だけが連続し、刺激の強度を上げられないままじれったさを味合わされ続けるもどかしさに、自然にあえぎ声が出始める。
身体が快感を求めて走り出そうとする度、波が引くように刺激の強度を弱められる度、私は羞恥心を刺激され、たまらず何度か懇願していた。
「ア・・・ッ、も、もうやめてください・・・」
ベッドの上で半身を起こし、私の両目を見下ろすS女性の視線が、左手を自由にすることを許さない意思を伝えていた。
(このまま続けられたら・・・、どうなってしまうのだろう・・・)
「男性」が「女性」から与えられるがままの快感に身を任せる姿としてはあり得ない程か弱げな喘ぎが漏れた。フェラチオさせ(してもらう)る時に呻く、ある意味「男らしい喘ぎ声」ではない。
ただ、快感を受け取る時に漏れる喘ぎを自分の耳で聞く度、こんな情けない声を出してもいいのか、快感を受け取るだけの戯れを続けてもいいのか、と自問自答し、煩悶した。
何度か左手をそのまま動かし、S女性の身体に手を伸ばし、「刺激の主導権」を取り戻そうともした、しかし、その度、手首に「意思を持った力」を加えて私の試みを制される。
(思うがままにしてもいいんだ、今は・・・)
そう思った瞬間、何かが、私のリミッターを外した。
刺激の有無とは無関係に、不規則に身体がビクッ、ビクッ、と痙攣し始める。それを楽しむかのように、また爪の先でひっかくように身体をなでつけられると、爪先が触れる度に痙攣のリズムがまた不規則性を加えられるようだった。
次第に、目を開けているのが面倒になり、そのまま、私は「縄酔い」したあの日のように、目の前がぼうっと白くなるような錯覚に支配されていった。
不思議と、性器にかかる膨張力が収まるのと反比例して、首から上に血液が集まるような感覚を覚え、私は、そのまま「頭で達した」状態を迎えていた。
男性同士で味わった絶頂は、どこか、自分の力を加えてその頂きを上っていったような意識があった。それは、「男性同士の性行為」という非常さを打ち消すために、私自身から意図的に加わる意識だったかもしれない。
S「女性」から、「男性の私」に対して加えられる刺激をそのまま受け止めることができた時が、「頭で達して、身体で達しなかった」初めての体験である。
まだ「S女性」と主従を結ぶ、少し前の出来事である。
・・・【04】に続く。
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