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Visions of Masochist
自分を律し、行き先を指し示す【Vision】。 しかし、行き先の分からない「背徳の幻想」が、私の中には存在する。
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映画館・4回目【02】
(緊張、してるんだな、やっぱり・・・)


 「彼女」がふっ、と息を呑んだことは、隣に座った瞬間、私にも分かった。愛想よくしても軽く見られて自分を安売りしているみたい、だけど、ここまできて、何も無しに帰ることなんて、できるはずもなくて・・・。


 私には「彼女」の気持ちが、手に取るように分かった。

いちいち、確認する必要はない。
ただ、自分に任せていればいい。


 無言のまま、その意識だけを、手すりに置いた「彼女」の右手の甲に自分の左の掌を重ね、伝えていく。


 数分、そのまま、手を動かさずに、さらに、伝える。


【どうして、触らないの・・・?】


 「彼女」の声が聞こえる。十分に、その気持ちを高めるように、ただ、掌から体温を伝え、彼女の右腕に麻酔が掛かるまで、そのまま静止しつづける。


(そろそろ、かな・・・)


 緊張が収まり、何もしない男への期待感が薄れる寸前、右手を「彼女」の左頬に回し、右の手で、前髪をそっと撫でる。
 ふっ、と驚いたように瞼を閉じた瞬間、耳の後ろから首筋に、柔らかく指を流していく。触れるか触れないか、ぎりぎりのところで、そっと、首筋から胸元まで、柔らかい水流のように、肌の上を指先で撫でる。


ブルッ・・・、と、「彼女」は上半身を震わせる。


同時に、左手を離し、腰に手を伸ばしていく。


 セーラー服の隙間から、白い肌が、ぼうっと光っている。
ためらわず、手を差し込み、ブラジャーの肩ひもの辺りまで、一気に手を伸ばしていく。
 硬く、蕾のような身体を包んでいるはずのセーラー服に、見知らぬ男性の手が侵入していることを、「彼女」はどう感じているのだろう。


「気持ちを犯す」


 それは、ここにいる男性が、なかなかしてくれないことで、かつ、「女」が求めている陵辱の形だったような気がする。


気がつけば、周囲には見物の男性が4~5人、ぴったりと私の背後で腕組みしながらじりじりとした視線を向けている。「私」ではなく、「彼女」に向けられた視線は、燃え始めた「彼女」の身体が発する妖しい魔力に惹かれ、男達の理性をゆっくりと溶かしていく。
 背後の男達の息づかいが荒くなったところで、私は、すっ、と身体を引き、身体を翻して客席から離れる。


 一瞬、どうして・・・?とでもいうような表情で私を捜す彼女も、次の瞬間には、周囲の男性たちに、燃え始めた身体全体をまさぐられはじめ、「私」のことなど忘れてしまう。


欲望と快楽と、意外性を楽しむ空間。


そんな空間の観客の一人になることを、そのときの私はとても楽しく感じていた。



テーマ:女装 - ジャンル:アダルト

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