「仮面舞踏会」は、名前とは裏腹に、むしろ、「仮面」を脱ぎ捨てた人々の集う場所だったように思う。ハンドルネームという仮面を着け、普段の自分を隠し、毎晩のように舞踏会へ通い詰める。
どんなに普段、信頼され、尊敬され、責任ある立場についている男性も、貞淑で、聡明で、清楚に見える女性も、舞踏会ではただ自分の性的嗜好を全面に出すことができる。
一見の人々、そして、物事の本質を見抜く力の無い人から見れば、私たちは「仮面」で普段の顔を隠したバーチャルな世界に逃避しなければ会話ができないのだ、と感じたかもしれない。
どんなに普段、信頼され、尊敬され、責任ある立場についている男性も、貞淑で、聡明で、清楚に見える女性も、舞踏会ではただ自分の性的嗜好を全面に出すことができる。
一見の人々、そして、物事の本質を見抜く力の無い人から見れば、私たちは「仮面」で普段の顔を隠したバーチャルな世界に逃避しなければ会話ができないのだ、と感じたかもしれない。
しかし、実際に舞踏会で踊る我々は、「仮面」がすぐに意味を失ってしまうことを知っていた。
・どんなハンドルネームを選ぶか
・どんな言葉使いで会話をするか
・周囲の人々(特に男性なら他の男性)への接し方
・自分が嗜好する「責め」を、人の身体に施すことに対する「懼れ」の度合い
こうしたことに、「仮面」の下の素顔、普段の彼・彼女がどんな人間なのかは、はっきりと投影される。当事者である私たちには、それがすぐに見えたのである。
SM愛好者は、確かに【変態性欲者】だろう。しかし、その人は必ずしも【変人】ではないと思う。分かってくれる人はそう多くはないだろうけど・・・。
今ほどSMモノのビデオや画像、そして情報自体が少なかった当時、その性衝動を昇華できる場所がないことに私たちは長いこと苦しまされていた。口にも出せず、代償行為にふけるための道具も手に入らない。長い毎日の末、やっと見つけた「舞踏会」を、変人の集まりにしないための気配りに昇華されていたのだろう。
自分で試したこともない責めを奴隷に試みてみようとするS、会話の中に尊敬の意を全く持たないM。そこでは「変人」はすぐに見抜かれ、誰にも相手にされなくなる。自然に、話す価値のある者、と信頼を得ることができた者だけが、毎晩の舞踏を許されることになった。
私たちは、自分たちが経験したSM行為、自分で試した責めが身体にどんな影響を残したか、理想の主について、そして理想の奴隷について・・・、話したいことのネタはいつまでも尽きなかった。
その中で、一人、「プロ」の経験と技術を持った女性に、私はどんどん、惹きつけられていった。
チャットをしながら、自分の聖水を奴隷に与え、「あ~きもちよかった♪」とそれを形容する文字は、私が持つ妄想の世界が現実にも存在することを示すには十分すぎるほどの力を持っていた。私は、何人もいる彼女の奴隷の一人になりたいと願っていた。
「願い」に見合った報酬を準備し、割り切った「依頼」をすれば、彼女は仕事として私の願いを聞き入れてくれたと思う。しかし、私は、プロとしての彼女の技術を買うことで全てを片付けようと思うことができなかった。
(奴隷にしてください)
その一言が言えないまま、私は彼女の姿を追いかけながら、決して、彼女をはっきりとは求めず、ただ、彼女の側で雑談し、時に妄想を話し、彼女に可愛がられたくて、珍しい顔文字を必死に集めては会話にちりばめ続けていた。
・どんなハンドルネームを選ぶか
・どんな言葉使いで会話をするか
・周囲の人々(特に男性なら他の男性)への接し方
・自分が嗜好する「責め」を、人の身体に施すことに対する「懼れ」の度合い
こうしたことに、「仮面」の下の素顔、普段の彼・彼女がどんな人間なのかは、はっきりと投影される。当事者である私たちには、それがすぐに見えたのである。
SM愛好者は、確かに【変態性欲者】だろう。しかし、その人は必ずしも【変人】ではないと思う。分かってくれる人はそう多くはないだろうけど・・・。
今ほどSMモノのビデオや画像、そして情報自体が少なかった当時、その性衝動を昇華できる場所がないことに私たちは長いこと苦しまされていた。口にも出せず、代償行為にふけるための道具も手に入らない。長い毎日の末、やっと見つけた「舞踏会」を、変人の集まりにしないための気配りに昇華されていたのだろう。
自分で試したこともない責めを奴隷に試みてみようとするS、会話の中に尊敬の意を全く持たないM。そこでは「変人」はすぐに見抜かれ、誰にも相手にされなくなる。自然に、話す価値のある者、と信頼を得ることができた者だけが、毎晩の舞踏を許されることになった。
私たちは、自分たちが経験したSM行為、自分で試した責めが身体にどんな影響を残したか、理想の主について、そして理想の奴隷について・・・、話したいことのネタはいつまでも尽きなかった。
その中で、一人、「プロ」の経験と技術を持った女性に、私はどんどん、惹きつけられていった。
チャットをしながら、自分の聖水を奴隷に与え、「あ~きもちよかった♪」とそれを形容する文字は、私が持つ妄想の世界が現実にも存在することを示すには十分すぎるほどの力を持っていた。私は、何人もいる彼女の奴隷の一人になりたいと願っていた。
「願い」に見合った報酬を準備し、割り切った「依頼」をすれば、彼女は仕事として私の願いを聞き入れてくれたと思う。しかし、私は、プロとしての彼女の技術を買うことで全てを片付けようと思うことができなかった。
(奴隷にしてください)
その一言が言えないまま、私は彼女の姿を追いかけながら、決して、彼女をはっきりとは求めず、ただ、彼女の側で雑談し、時に妄想を話し、彼女に可愛がられたくて、珍しい顔文字を必死に集めては会話にちりばめ続けていた。
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