「今から言うモノを用意してください。それから、私のいう条件に同意すること、話しはそれからにしましょう」
「はい・・・」
一切余計な気休めも、ご機嫌取りの会話も、そして、必要以上に虚勢を張ることも信頼を強調することもない。それが、「彼」の放つ空気の色なのだ。
「はい・・・」
一切余計な気休めも、ご機嫌取りの会話も、そして、必要以上に虚勢を張ることも信頼を強調することもない。それが、「彼」の放つ空気の色なのだ。
「アームザック、知っていますか?」
「いいえ・・・、どんなものでしょうか?」
「彼」は唐突に、一つのリンクを提示する。私は、表示されたその文字を写し取り、別のウィンドウに、表示させた。
アームザック
「こんなふうに腕を拘束・・・するのですね・・・」
自分の身体に対して使うものを、目の前に提示され、私は無意識に唾液を呑み込んでいた。憂いを帯びた表情で画面からこちらを見ているモデルの女性の視線は、その拘束具に見せられていく私の心を丸裸にするように真っ直ぐに私を貫く。
(貴方も・・・、こうなりたいんでしょう?はやく、こっちに来たらどう・・・?)
私には、モデルの彼女が、自分の先から手招きしているように、そして、まるで自分がその姿にされているような感覚が、頭から離れなくなっていった。
間違いなく、動悸が速くなるのがわかった。
「あの・・・、私に・・・、これを使いたい、ということなのです・・・ね」
「ええ、そうです。実は、私もここまで本格的な拘束具を求めたことはありません。いつか機会があれば使ってみたい、とは思ってきました。貴方の望みと私の希望、両方が叶うような気がしませんか?」
その通りだ。
私はその時、まさに、自分をマゾヒストとして見つめるサディストの前に提示された獲物だった。自分の好みをオーダーし、それを具現化してもらうことではなく、「彼」の好み、「彼」の作る世界の中に、私が引き込まれていくのだ。
自分の自由にならない「彼」の希望のために、私は自ら自分を責める拘束具を準備し、「彼」の元に跪くのだろうか。それとも、それすらも私が望む「希望の具現化」でしかないのだろうか。「彼」がアームザックへの想いを語るほど、私が「彼」の望む姿に、なれるかどうかを考えていた。
そして、同じサイトの中の拘束衣の画像に目を奪われた。
「SCORPION」
「蠍」と名付けられた全身拘束具をまとったモデル女性の、扇情的な姿が、目に焼き付いて、離れなくなる。
「あ・・・、これも・・・、素敵ですね・・・」
負けじと私も、リンクを張り付け、「彼」に提示した。長い黒髪と白い肌が、赤と黒の拘束具に戒められ、全く自由を失った姿を映し出している画像を、「彼」ももちろん、それ以前に見ていた。
「いいですね、これも・・・。こういう姿に、憧れていたんですか?」
淡々と、「私」の望む「私」の姿を、確認されていく。私はその時、はっきりと、自分の目の前に長いこと横たわっていた「壁」が崩れ落ちていくのを感じていた。
「いいえ・・・、どんなものでしょうか?」
「彼」は唐突に、一つのリンクを提示する。私は、表示されたその文字を写し取り、別のウィンドウに、表示させた。
アームザック
「こんなふうに腕を拘束・・・するのですね・・・」
自分の身体に対して使うものを、目の前に提示され、私は無意識に唾液を呑み込んでいた。憂いを帯びた表情で画面からこちらを見ているモデルの女性の視線は、その拘束具に見せられていく私の心を丸裸にするように真っ直ぐに私を貫く。
(貴方も・・・、こうなりたいんでしょう?はやく、こっちに来たらどう・・・?)
私には、モデルの彼女が、自分の先から手招きしているように、そして、まるで自分がその姿にされているような感覚が、頭から離れなくなっていった。
間違いなく、動悸が速くなるのがわかった。
「あの・・・、私に・・・、これを使いたい、ということなのです・・・ね」
「ええ、そうです。実は、私もここまで本格的な拘束具を求めたことはありません。いつか機会があれば使ってみたい、とは思ってきました。貴方の望みと私の希望、両方が叶うような気がしませんか?」
その通りだ。
私はその時、まさに、自分をマゾヒストとして見つめるサディストの前に提示された獲物だった。自分の好みをオーダーし、それを具現化してもらうことではなく、「彼」の好み、「彼」の作る世界の中に、私が引き込まれていくのだ。
自分の自由にならない「彼」の希望のために、私は自ら自分を責める拘束具を準備し、「彼」の元に跪くのだろうか。それとも、それすらも私が望む「希望の具現化」でしかないのだろうか。「彼」がアームザックへの想いを語るほど、私が「彼」の望む姿に、なれるかどうかを考えていた。
そして、同じサイトの中の拘束衣の画像に目を奪われた。
「SCORPION」
「蠍」と名付けられた全身拘束具をまとったモデル女性の、扇情的な姿が、目に焼き付いて、離れなくなる。
「あ・・・、これも・・・、素敵ですね・・・」
負けじと私も、リンクを張り付け、「彼」に提示した。長い黒髪と白い肌が、赤と黒の拘束具に戒められ、全く自由を失った姿を映し出している画像を、「彼」ももちろん、それ以前に見ていた。
「いいですね、これも・・・。こういう姿に、憧れていたんですか?」
淡々と、「私」の望む「私」の姿を、確認されていく。私はその時、はっきりと、自分の目の前に長いこと横たわっていた「壁」が崩れ落ちていくのを感じていた。
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