インターネットの登場以前、一人で自由に使える部屋と、電話回線を手に入れた「私」は、SM雑誌の広告に掲載されていた「ツーショットダイヤル」に魅せられていた。
高額の費用と、得られる会話の空しさに飽きはじめていた頃、ちょっとした興味から、「女を装う」ことを覚えるきっかけになったエピソード。
高額の費用と、得られる会話の空しさに飽きはじめていた頃、ちょっとした興味から、「女を装う」ことを覚えるきっかけになったエピソード。
不安と緊張で、眠れずに長い夜を過ごすはずだった。
朝の光が開け放したカーテンをあざ笑うかのように照らし、私はまた、全身を汗に濡らして目覚めた。鈍い頭痛はいくらか和らいでいたが、起きあがることを押しとどめさせるかのように体をこわばらせている。
(眠って、しまったのか・・・)
時計は7時を既に回っている。いつも自宅を出る時間までは、ほんの30分ほどしかなかった。
(まさか永久に休むわけにもいかないだろうな・・・)
無意識に、痛む頭を左右の手のひらでこめかみの辺りを何度か押しながら体を起こした。もやがかかったように気持ちが晴れないのに、外の光りは最近にないほど白く、輝くように見える。
朝の光が開け放したカーテンをあざ笑うかのように照らし、私はまた、全身を汗に濡らして目覚めた。鈍い頭痛はいくらか和らいでいたが、起きあがることを押しとどめさせるかのように体をこわばらせている。
(眠って、しまったのか・・・)
時計は7時を既に回っている。いつも自宅を出る時間までは、ほんの30分ほどしかなかった。
(まさか永久に休むわけにもいかないだろうな・・・)
無意識に、痛む頭を左右の手のひらでこめかみの辺りを何度か押しながら体を起こした。もやがかかったように気持ちが晴れないのに、外の光りは最近にないほど白く、輝くように見える。
それから、どうやって自分の部屋に帰ったのか、よく覚えていない。気がついた時には、ベッドの上にいた。嫌な夢にうなされていたように、全身が汗にまみれている。
軽い脱水症状なのか、動悸が激しくて、息が苦しい。ベッドで体を起こすと、鈍痛が頭に拡がった。たまらずふらふらと立ち上がり、キッチンに両手をつき、流し台の水栓をひねるとそのまま蛇口から水を流し込む。
全身が、乾いていた。
「ふうっ・・・、」
胃の中を冷たい水で満たしと動悸が少しだけ和らぎ、やっと少し落ち着くことができた。
【償いはきちんとしていただきますから・・・】
知加子の言葉が、頭の中で黒い渦を巻くようにこだましている。
軽い脱水症状なのか、動悸が激しくて、息が苦しい。ベッドで体を起こすと、鈍痛が頭に拡がった。たまらずふらふらと立ち上がり、キッチンに両手をつき、流し台の水栓をひねるとそのまま蛇口から水を流し込む。
全身が、乾いていた。
「ふうっ・・・、」
胃の中を冷たい水で満たしと動悸が少しだけ和らぎ、やっと少し落ち着くことができた。
【償いはきちんとしていただきますから・・・】
知加子の言葉が、頭の中で黒い渦を巻くようにこだましている。
頂いたコメントの言葉が、ちょうどこの1週間ほどの間に感じた心境に合っていた。
心・技・体。
何かを克服し、何かを成し遂げ、何かに打ち勝つために必要な三要素は、人間の成熟度を推し量るバロメーターでもある。
心・技・体。
何かを克服し、何かを成し遂げ、何かに打ち勝つために必要な三要素は、人間の成熟度を推し量るバロメーターでもある。
「コドモ」の間にSMに魅せられた人は例外なく、自分の性的衝動を満たす「素材」を手にすることの難しさに嘆いたことがあるだろう。
無意識に手に取ることができるマンガ雑誌には、ただただ扇情的なだけの興味本位のSM描写が入り混んでいる。フィルタリングソフトを導入していないPCを触ることができる「幸運な」環境を手に入れさえすれば、いまどきのコドモは、たやすくSMの世界へ足を踏み入れられるに違いない。
大人になった私は、「コドモ」世界のあり方にいろいろ言いたくなる。
無意識に手に取ることができるマンガ雑誌には、ただただ扇情的なだけの興味本位のSM描写が入り混んでいる。フィルタリングソフトを導入していないPCを触ることができる「幸運な」環境を手に入れさえすれば、いまどきのコドモは、たやすくSMの世界へ足を踏み入れられるに違いない。
大人になった私は、「コドモ」世界のあり方にいろいろ言いたくなる。